私たちの問題意識
消滅危機言語の問題


平成21(2009)年2月に国連教育科学文化機関(UNESCO)が発表した”Atlas of the World’s Languages in Danger”(第3版)では、世界では約2,500の言語が消滅の危機にあるとし、日本語の中でも8言語が消滅の危機がある言語として掲載されています。
言語危機度地域
アイヌ語極めて深刻北海道ほか
八丈語危険八丈島、青ヶ島、南大東島、北大東島
奄美語危険奄美大島、喜界島北部、徳之島、周辺諸島
国頭語危険沖縄本島北部、与論島、沖永良部島、喜界島南部
沖縄語危険沖縄本島中南部、周辺諸島
宮古語危険宮古島、多良間島、周辺諸島
八重山語重大な危険石垣島、西表島、周辺諸島
与那国語重大な危険与那国島

日本では他にも「東日本大震災からの復興の基本方針」で指摘された東日本大震災の被災地の方言も消滅の危機がある言語として認定されました。これらの方言話者は高齢者であるケースが多いこともあり、次世代の担い手の創出が急務となっています。
私たちはこうした消滅危機言語の問題に焦点を当て、まずは沖縄語の継承から本プロジェクトの中心課題として取り組んでいきたいと考えています。

私たちの問題意識
なぜ「地域言語」の保存が必要なのか

世界で毎年20以上の言語が消滅していると言われています。そして、先述の通り、日本にも「消滅危機言語」が少なからず存在しています。私たちはこうした「消滅の危機にある言語」を残していく必要があると考えていますが、その主な理由・保存する価値は、単に「言葉を保存する」だけにとどまりません。

論点1:文化・アイデンティティ

言語は、文化と心を映す鏡である。

  • 文化の継承
    言葉が消えると、歌、物語、ことわざ、そして何世代にもわたって培われた知恵も失われます。
  • アイデンティティの再認識
    私たちが扱う「しまくとぅば」には、沖縄の自然観や助け合いの精神が宿っています。言葉を学ぶことは、自分たちのルーツを再確認することに繋がります。

論点2:多様性と知の宝庫

一つの言葉が失われることは、一つの世界が失われることを意味する。

  • 文化の継承
    言葉が消えると、歌、物語、ことわざ、そして何世代にもわたって培われた知恵も失われます。
  • アイデンティティの再認識
    私たちが扱う「しまくとぅば」には、沖縄の自然観や助け合いの精神が宿っています。言葉を学ぶことは、自分たちのルーツを再確認することに繋がります。

論点3:歴史の証拠

言葉は、過去を伝えるタイムカプセルである。

  • 生きた歴史
    地域言語には、その地域の交易や文化交流、歴史的出来事の痕跡が言葉として残っています。
  • 未来への教訓
    言葉を守ることは、過去を正しく理解し、未来への教訓として活かすための重要な手掛かりとなります。

論点4:地域社会の活性化

言葉の復興は、地域の未来を創る力となる。

  • 世代間交流
    講座やイベントを通じて、高齢者から若者までが交流する場が生まれます。
  • コミュニティの強化
    コミュニティの強化 共通の言葉を学ぶことは、人々の連帯感を高め、地域の一体感を育みます。
  • 新たな魅力の創出
    言葉は観光資源にもなり、深い文化体験は地域への関心を高めます。

地域言語を守ることは文化的・知的・社会的資産を次世代へと受け継ぐことであり、過去を守るだけでなく、未来を豊かにすることにつながります。

立ち上げの経緯

沖縄のことば「しまくとぅば」は、世代を超えて受け継がれてきた大切な文化的財産です。しかし、現代において若い世代の多くは日常的に使用する機会が少なく、このままでは失われてしまう危機に直面しています。私たちがこの課題と出会ったのは2023年。当時は教育事業を営む一般社団法人として、大学進学を目指す受験生へのWebを通した情報提供や予備校や学校現場での指導を行なっている団体でした。そんな中、代表の羽場が偶然沖縄で出会ったYouTuber「沖縄サムライ」MGさんから、沖縄語の危機的な状況を聞いたことで、私たちは世界にある消滅危機言語の問題と出会うこととなりました。

このままではしまくとぅばが消滅してしまいかねないという現実を前に、単なる保存ではなく「学び・実践・共有」を通じて未来へと受け継ぐ仕組みをつくる必要があると私たちは考えました。沖縄県内外の先行事例、言語復興を一定程度成し遂げたとされるウェールズ語の事例も参照しつつ、私たちの強みを活かした、私たちならではの取り組み方を模索しながら準備を重ね、2025年、「しまくとぅば塾 ちむぐくる」を本格的に始動させました。

この取り組みは「危機認識」から「共感の輪」、そして「学びの場」へと発展し、次の世代へと繋がっていく挑戦です。私たちは「一つの言葉が失われることは、一つの世界が失われることを意味し、言葉の復興は、地域の未来を創る力となる」と考えています。地域言語を守ることは文化的・知的・社会的資産を次世代へと受け継ぐことであり、過去を守るだけでなく、未来を豊かにすることにつながる営みです。

あなたの一歩が、この言葉を残す力になります。未来を変える一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか?

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