しまくとぅばの日とは?
「しまくとぅば」は単なる方言ではありません。沖縄の豊かな自然、独自の歴史、そして人と人との温かい結びつきを映し出す、特別な言葉文化です。しかし近年、日常で使う機会が減少し、2009年にユネスコから「消滅の危機にある言語」にも指定されています。
このかけがえのない言葉を次世代へつなぐために、2006年3月31日、沖縄県は「しまくとぅばの日に関する条例」を制定。9月18日が「しまくとぅばの日」として定められました。
しまくとぅばの日に関する条例をここに公布する。
しまくとぅばの日に関する条例
(趣旨)
第1条 県内各地域において世代を越えて受け継がれてきたしまくとぅばは、本県文化の基層であり、しまくとぅばを次世代へ継承していくことが重要であることにかんがみ、県民のしまくとぅばに対する関心と理解を深め、もってしまくとぅばの普及の促進を図るため、しまくとぅばの日を設ける。
(しまくとぅばの日)
第2条 しまくとぅばの日は、9月18日とする。
(事業)
第3条 県は、しまくとぅばの日の啓発に努めるとともに、その日を中心としてしまくとぅばの普及促進のための事業を行うものとする。
2 県は、市町村及び関係団体に対し、しまくとぅばの普及促進のための事業が行われるよう協力を求めるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
なぜ9月18日が「しまくとぅばの日」?
9月18日という日付には語呂合わせの工夫があります。数字の語呂合わせで、「く(9)」「とぅ(10)」「ば(8)」=くとぅば=言葉。
※沖縄語で「10」は「トゥー」と読む
「しまくとぅばの日」の記念日そのものが「言葉」を思い起こさせる仕掛けになっており、子どもから大人まで覚えやすい工夫です。
しまくとぅばの現状と課題
戦後以降の標準語教育の影響で、しまくとぅばは日常会話から少しずつ姿を消しました。現在では世代間で使用率に大きな差があり、特に若者世代で話者が減少しています。
(沖縄県「しまくとぅば県民意識調査報告書」による)
一方、県内外で復興の動きは広がっており、学校教育・地域活動・イベントなどを通じて再評価も進んでいます。
しまくとぅばの日は、この課題を社会全体で共有し、次世代へと伝えるきっかけになる日でもあります。
ユネスコによる「消滅の危機にある言語」認定
2009年2月に国連教育科学文化機関(UNESCO)が発表した”Atlas of the World’s Languages in Danger”(第3版)では、世界では約2,500の言語が消滅の危機にあるとし、日本語の中でも次の8言語が消滅の危機がある言語として掲載されています。
沖縄の文化そのものを未来へ残していくためにも、言語の継承は喫緊の課題となっています。
「しまくとぅば塾 ちむぐくる」の取り組み
「しまくとぅば塾 ちむぐくる」では、那覇市を拠点に毎月1回の定期講座を開催しています。
- 対面講座とオンライン受講を組み合わせ、全国・海外からも参加可能
- 講師による基礎解説+実践的な会話練習で「学んで・使える」形式
- アーカイブ視聴を用意し、いつでも復習可能
「ちむぐくる」とは沖縄の言葉で「真心」。言葉を学ぶだけでなく、心を通わせる学びの場として活動しています。
しまくとぅばの日にできること
- あいさつをしまくとぅばで交わす(例:「はいさい/はいたい」「めんそーれー」)
- 家族や子どもと一緒に歌や絵本で楽しむ
- 講座やワークショップに参加して学び直す
- SNSでお気に入りのしまくとぅばを発信する
- 地域のイベントやスピーチ大会に参加する
- 小さな実践の積み重ねが、言葉の未来を守る大きな一歩につながります。
「しまくとぅばの日」は、沖縄の言葉を未来へつなぐための大切な記念日です。しまくとぅば塾 ちむぐくるは、その架け橋として、誰もが楽しく学び・使える環境を提供しています。
9月18日をきっかけに、あなたも「しまくとぅば」を日常に取り入れてみませんか?